特別養護老人ホーム、略して特養。高齢者の方やそのご家族、介護や福祉に携わる方々のみならず、最近は一般の方にもその名前は浸透してきているのではないでしょうか?ただ、もちろん聞いたことはあるけれど詳しいことは分からない…といった方が多いと思います。今回はこの特養についてリサーチしてみました。そして、特養とよく似た名称の「養護老人ホーム」との違いを挙げながら、特養のメリット・デメリットも詳しくご紹介します。
特別養護老人ホームは“特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護 保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介 護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る 者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。”と定義付けられています。老人福祉法第二十条の五:特別養護老人ホームより
65歳以上の者で身体・精神に著しい障害があるため常に介護を必要とし、居宅で介護できない人が入居する施設です。
地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な施設で、原則として要介護3以上の方が入居できます。
特別養護老人ホームの設備は法令で細かく定められています。
居室、つまり入居者が生活する部屋のタイプは「従来型個室」「多床室」「ユニット型個室」「ユニット型準個室」「多床室(準ユニットケア加算)」の5タイプがあります。
最近は、ユニット型個室タイプを設置し施設が多くなってきているようです。
居室にはベッドと収納が備えられています。トイレやバス、食堂などは別に配置されています。
特別養護老人ホームに入居し生活するための費用は、公的機関であるため民間の有料老人ホームと比べると安価となっています。
入居のための一時金などは不要です。
月々かかる費用は居住費や食費・介護施設サービス費などで、要介護の度合いや収入、居室のタイプなどによって変化しますが、10万円弱から20万円前後の負担額となっています。
施設長 | 1人(常勤) |
医師 | 入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数 |
生活指導員 | 入所者100人に対して1人 |
介護職員又は看護職員 | 入所者3人に対して1人 |
栄養士 | (常勤) |
機能訓練指導員 | 1人以上 |
調理員 事務員その他の職員 | 1人以上 |
この基準を下回った場合には、介護報酬が減額されることもあるようです。
よく「人員配置3:1」と言われますが、入居者3人に対して介護職員または看護職員が1人の部分を指しているようです。
特別養護老人ホームと養護老人ホーム。
よく似た名前で、特別がつくかどうかの違いだけです。
養護老人ホームは「養老院」がそのルーツで、いわば高齢者の保護施設です。
特養と養護老人ホームの主な違いを表にしてみました。
特別養護老人ホーム | 養護老人ホーム | |
---|---|---|
目的 | 高齢者の介護・生活支援 | 高齢者の養護・自立支援 |
入所基準 | 要介護高齢者 | 自立した高齢者 |
サービス内容 | 介護・生活支援 | 食事の提供や健康管理 |
介護職員 | 常勤 | 配置なし |
一番大きな違いは、介護を行うかどうかということです。
養護老人ホームは介護の必要な高齢者は入居できません。
介護が必要になった入居者は他の施設への転居を迫られる場合もあります。
特養も養護老人ホームも公的な施設なので費用は民間の施設に比べるとかなり安価になっています。
特別養護老人ホームに入居することのメリット・デメリットはどういったところでしょうか?
まず、その費用の安さは大きなメリットです。
入居に際しての一時金も不要で、月々の負担金も民間の施設と比べると安価で済みます。
原則としていったん入所すれば転居や退所しなくていいのでご家族は安心です。
入居基準が厳しく、原則として要介護3以上でないと入所できません。
さらに、入居希望者が増えたため待機人数がかなり多く、入所できるまでに長い時間がかかるのは難点です。
また、医療処置(治療)の必要な人にとっては医師の人員配置などが、決して十分とは言えないこともデメリットといえるでしょう。
以上、特養(特別養護老人ホーム)についてご紹介しました。
高齢者とその家族にとって、ありがたい存在である特養と養護老人ホームに違いをしっかり把握し、上手に利用するための一助になれば幸いです。
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