認知症の特徴と見分け方｜介護福祉士・社会福祉士・ケアマネージャー・初任者研修・ヘルパー｜介護求人専門サイト｜介護求人ガイド

　認知症は、何らかの原因になる病気によって、脳に器質的な変化が生じることで、理解力や判断力が低下し、日常生活に支障をきたす病気です。具体的には、「いつ」「どこで」「どういう状況で」「どうするべきか」を認識したり、理解したり、判断することが難しくなります。

　普段、私たちの生活は、これらの認識や理解、判断の連続です。意識していなくても、ここはどこで、何をすべきかをとっさに判断しますよね。たとえば、学生のかたが教室にいる時には、自然に「ここは教室」「授業は○○時まで」「勉強する場だから静かにしよう」など、その場にふさわしい行動をとります。

　認知症になると、これらの認識や理解、判断が難しくなってくることから、生活に支障をきたすようになるんです。もちろん、一度に全て何もかもできなくなるわけではありません。長くできることや、少しの支援でできることはたくさんあります。

　しかし、迷子になりやすかったり、伝言ができなくなったり、乗り物への乗り方が分からなくなったりなど、色んな症状が出てくるようになり、残念ですが少しずつ進行していきます。本人は、認知症になったと自覚するのは初期のみの場合が多く、進行すると自覚がなくなることも多いです。

　最近、人の名前が覚えられない、すぐに忘れてしまうからと、認知症になったと決めつけるかたもいます。しかし、年をとると足腰が弱くなったり、病気にかかりやすくなるのと同じように、脳も老化します。起きた出来事の一部分のみを忘れるのは、生理的な脳の老化である場合も多いんです。ヒントやきっかけがあれば、思い出すことができるのなら、生理的な脳の老化と思っても良いでしょう。

　何より、老化現象の場合は、忘れっぽいことへの自覚があり、忘れまいと努力したり、人に伝えたりしますよね。判断力そのものは低下しないため、日常生活に多少の不便さはあっても、支障をきたすことはほとんどありません。

　認知症には、いろんな種類があります。元の原因になる病気が違うと、症状のでかたも違ってきたり、治療方法も変わります。認知症に多いのは、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症の3種類です。その中でも、特に多く、約半数にものぼるのがアルツハイマー型認知症です。

　アルツハイマー型認知症は、脳に異常なタンパク質がたまることで、海馬のあたりから段々と脳が萎縮してくるのが特徴です。海馬というところは、物事の記憶を司る部分ですから、まず物忘れから始まり、時間や場所が分からないなどの症状や、「泥棒に入られた」「ものを盗られた」と訴えたり（実際はしまった場所を忘れてしまうためで、泥棒された事実はないことが多い）、迷子になりウロウロしたりなどの症状が見られるようになることもあります。

　認知症は進行性の病気だから、と病院に行かなかったり、どの病院にいったら良いのか分からないと思っているうちに、どんどん症状が進行した、なんてことも多いです。さきほど紹介した認知症の種類の他には、治療により治る認知症もあるんです。

　正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、栄養障害、脱水症、アルコール依存症による症状などは、治療で治る場合もあります。

　また、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、脳血管性認知症でも、早期診断と早期治療によって、進行を緩やかにしたり、症状を緩和することができることも多いです。何より、病気に向き合う家族にとって、専門家のアドバイスはとても大切で、困った時にはとても頼りになります。

　最近は、認知症外来のかかりつけ医も多く見られるようになりました。場所が分からなければ、役場の福祉課で紹介してもらうことができます。必要によっては、役場の福祉課窓口で介護の相談に乗ってもらえたり、介護保険の申請もできます。

　本人、家族のためにも、認知症を疑ったら早めに病院を受診しましょう。