介護サービス提供事業者に支払われる≪介護報酬引≫消費税10%アップの見送りなどを理由に、2015年度から2.27%引き下げられることが決定しました。
財務省は当初、一部の特養やデイサービスなどが「儲け過ぎ」ているとして、6%程度の引き下げを要求していましたが議員や介護事業者からの「サービスの低下を懸念する声」を受け、2.27%に留めます。「収支差率」とは「収入と支出の差」で企業の利益率にあたりますが、「収支差率」が一般の中小企業の利益率2.2%(13年度)に比べ平均8%と高水準となっており、この水準まで引き下げるべきだというのが財務省の考えです。また特に特養が黒字分をため込んだ「内部留保」が全体で2兆1000億円に上っていることも問題視されています。収支差率が高く内部留保が多い一因として、納税の義務を免除されていることも大きな要因と考えられているため、社会福祉法人の「非課税問題」も合わせて注目されはじめました。
介護報酬を下げても、その分を職員の処遇改善に絞って回す加算方式にすれば、介護職員の給与は決して下がらない― というのが財務省の考えです。
介護報酬の引き下げが決まる一方で、人手不足である介護職員の処遇改善につながる「介護職員処遇改善加算」の予算も別枠で確保され賃金が月1万2000円程度アップされます。介護従事者の平均賃金は月約22万円で、全産業平均32万円より10万円も少く、人手不足の最大要因であると考えられています。介護費全体を下げつつ介護職員の賃上げを実施して、人員確保を図る狙いです。
2025年には団塊の世代が75歳以上となります。高齢者人口は増加を続け、30年後の2042年に3878万人のピークを迎えると予測も出ており、「総人口の36%が高齢者」という超高齢社会に世界で最初に突入することになるのです。少子高齢化を同時に迎える中で、社会保障制度を維持していくためにはを適切な、財源の配分が不可欠になります。
限られた財源を、本当に必要な介護に充てることが政府と事業所にとって大きな課題となっています。
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